[Amazon Connect] 転送先をローテーションする

[Amazon Connect] 転送先をローテーションする

Clock Icon2019.07.04

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1 はじめに

CX事業本部の平内(SIN)です。

Amazon Connect(以下、Connect)には、電話への転送機能があります。この機能では、タイムアウトを設定して、電話に出なかった場合の処理も設定することが可能です。

今回は、Connectを会社の代表電話に利用する場面を捉え、この機能を利用して、転送先の拠点で電話対応ができない時に、次の拠点に転送するという仕組みを試してみました。

電話を掛けた側には、転送が廻されても分かりませんので、大きく顧客体験が損なわれる事は無いと思います。

また、拠点ごと、時期によって電話対応できない時間帯などが、予め分かっている場合は、S3上の設定ファイル(RotationalTransfer.txt)を編集することで、転送の優先順位を変えたり、定期的に再生するメッセージが編集できるようにしてみました。

2 セットアップ

プロジェクトは、SAM(Lambda,S3)で作成しました。このプロジェクトを設置する手順は以下のとおりです。

(1) ダウンロード

GitHubからプロジェクトをcloneして下さい。

$ git clone https://github.com/furuya02/AmazonConnect-Extended-RotationalTransfer3.git
$ cd AmazonConnect-Extended-RotationalTransfer3

事後の作業は、全てappの中で行います。

$ cd app

(2) 外部モジュールのダウンロード

[app]$ cd src;yarn install;cd ..
[app]$ cd dst;yarn install;cd ..
[app]$ chmod 755 .vscode/deploy.sh

本プロジェクトは、VSCode上で作業すると、快適に作業できるようセットアップされています。

[app]$ code . ( <= ドットを忘れないように)

(3) 構成

プロジェクトのファイル構成は、概ね以下のとおりです。

├── README.md
├── images (ドキュメント用画像)
├── sample
│ ├── RotationalTransfer.txt (設定のサンプル)
│ └── RotationalTransfer(問い合わせフローのサンプル)
└── app
├── dst (js出力)
│   ├── yarn.lock (デプロイ用)
│   ├── package.json (デプロイ用)
│ └── node_modules(デプロイ用)
├── src (tsソースコード)
│   ├── yarn.lock (TS用)
│   ├── package.json (TS用)
│ ├── node_modules(TS用)
│ ├── tsconfig.json (TypeScript設定)
│ └── index.ts
└── template.yml (AWS SAM テンプレート)

(4) コンパイル

tscでコンパイルして、jsファイルを生成します。 app/tsconfig.jsonに設定ファイルがあり、これを元にコンパイルすることで、dst/配下にjsファイルが出力されます。

[app]$ tsc --build src/tsconfig.json

VSCodeでは、Shift+Cmd+b(ビルドタスクの実行)で表示される選択から、tsc:ウォッチ(常時動作)若しくは、tsc:ビルド(1回のみ) でコンパイルできます。

(5) デプロイ

sam package及び、sam deployコマンドでデプロイします。 SAMによるパッケージ作成のために、予め、S3のバケットが必要です。

[app]$ export Profile=プロファイル名
[app]$ export BucketName=S3バケット名
[app]$ export StackName=Connect-Extended-Operation-Of-Tiime
[app]$ sam package --output-template-file packaged.yaml --s3-bucket ${BucketName} --p ${Profile}
[app]$ sam deploy --template-file packaged.yaml --stack-name ${StackName} --capabilities CAPABILITY_IAM --p ${Profile}

VSCode上でデプロイするには、Cmd+d(カスタム:タスク実行)で表示される選択から、deployタスクを選択します。

deployタスクは、.vscode/task.jsonで下記のように、.vscode/deploy.shを実行するように設定されています。

{
"version": "2.0.0",
"tasks": [
{
"label": "deploy",
"type": "shell",
"command": ".vscode/deploy.sh",
"problemMatcher": []
}
]
}

バケット名などパラメータの変更は、.vscode/deploy.shの環境変数を編集して下さい。

export Profile=プロファイル名
export BucketName=バケット名

#--------------- SAM更新 ---------------------------
export StackName=Connect-Extended-RotationalTransfer

sam package --output-template-file packaged.yaml --s3-bucket ${BucketName} --p ${Profile}
sam deploy --template-file packaged.yaml --stack-name ${StackName} --capabilities CAPABILITY_IAM --p ${Profile}

(6) リソース

デプロイされるリソースは、以下の3つです。すべてのリソースは、スタック名で始まります。

  • S3バケット(設定ファイルのアップロード用)
  • Lambda関数
  • Lambda用のRole

(7) 設定ファイル

設定ファイルをS3バケットにアップロードします 。

バケットは、CloudFormationの出力に表示されているバケット名になります。

[app]$ export Profile=プロファイル名
[app]$ export BucketName=バケット名
[app]$ aws s3 cp ../sample/RotationalTransfer.txt s3://${BucketName}/ --profile=${Profile}

(8) 設置

本プロジェクトを設置する手順は、以下のとおりです。

  • インスタンスへのLambdaの追加
  • 問い合わせフローの設置
  • AWS Lambda関数を呼び出すブロックの設定

インスタンスへのLambdaの追加

  • インスタンスの設定で、AWS Lambda関数を追加します。関数名は、CloudFormationの出力で確認して下さい。

問い合わせフローの設置

問い合わせフローのサンプル(sample/Sample)をインポートします。

AWS Lambda関数を呼び出すブロックの設定

  • AWS Lambda関数を呼び出すブロックのオプションで、関数を選択します。

パラメーターは、属性を使用するに設定し、外部:counterをcounterで渡すように設定します。これにより、ループの何回目の処理かをLambdaで判断できるようになります。

3 設定

設定要領は、拠点の電話番号と、ローテーションの設定の2種類です。

(1) 拠点の電話番号

[TELNO]と[/TELNO]の間で設定し、2カラム目に電話番号を記載します。

ローテーションで使用するのは、何行目の拠点を使用するかだけですので、1カラム目は、記述方法に制約はありません。

#####################################
# 拠点電話番号設定
#####################################
[TELNO]
(0)SAPPORO,+819011111111
(1)OOSAK,+819022222222
(2)TOKYO,+819033333333
(3)YOKOHAMA,+819044444444
(4)SAITAMA,+819055555555
[/TELNO]

(2) ローテーションの設定

ローテーション設定は、[DEFAULT]と、その上書き設定となります。

  • 1カラム目:拠点
  • 2カラム目:タイムアウト(秒)
  • 3カラム目:転送の前にアナウンスを入れる

下記の例では、 1. 拠点0に転送し、15秒でタイムアウト 2. 拠点2に転送し、15秒でタイムアウト 3. 「申し訳ございません・・・」のアナウンス後に、拠点4に転送し、15秒でタイムアウト この動作を、電話にでるまでループします。

#####################################
# デフォルト設定
#####################################
[DEFAULT]
0,15,
2,15,
4,15,申し訳ございません。只今、混み合っております、そのまま、お待ち頂くか、おかけ直し下さい。
[/DEFAULT]

ローテーションの設定は、特定の日時だけ[DEFAULT]の設定を上書きできます。

下記の設定は、月曜日の09:00〜12:00の間だけ、デフォルトのローテーションを上書きします。

#####################################
# 月曜の9:00-12:00の設定
#####################################
[SET]月,0900,1200
3,15,
2,15,
1,15,申し訳ございません。只今、混み合っております、そのまま、お待ち頂くか、おかけ直し下さい。
[/SET]

なお、空行や、#以降(コメント)は、無視されます。

RotationalTransfer.txt の一例です。

#####################################
# 拠点電話番号設定
#####################################
[TELNO]
(0)SAPPORO,+810011111111
(1)OOSAK,+810022222222
(2)TOKYO,+810033333333
(3)YOKOHAMA,+810044444444
[/TELNO]

#####################################
# デフォルト設定
#####################################
[DEFAULT]
0,15,
1,15,
2,15,
3,15,
4,15,申し訳ございません。只今、混み合っております、そのまま、お待ち頂くか、おかけ直し下さい。
[/DEFAULT]

#####################################
# 月曜の9:00-12:00の設定
#####################################
[SET]月,0900,1200
3,15,
1,15,申し訳ございません。只今、混み合っております、そのまま、お待ち頂くか、おかけ直し下さい。
[/SET]

4 最後に

今回は、電話転送を設定ファイルでローテーションするものを作成してみました。

Connectを会社の代表電話などで利用する場合、このような、複数電話にうまくスケージュールする仕組みは、もしかすると有効かも知れません。

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